■企画の発端

 当初は別の企画を構想していたが、その内容があまりに壮大なスケールで、描き切るのが大変すぎて準備が追いつかないというところから、やむなく断念せざるを得なかった。

 春、夏、秋、冬と、季節ごとに公演を打とうと計画を立てたのは、かなり無理があった計画かもしれない。


 なので急きょ差し替えた企画が、この「融合する瞳」である。
 ホラー物で、短編集。









 最初に思いついたときは「イケそうだな」と、直感的に身を乗りだした。だが、内容が変わっても決してラクになるということはない。ただ間に合う可能性が出てきたというだけの話である。企画を決めた当時は、脚本さえ、わずか三日程度しかかけられず、だいぶ苦しんだことを覚えている。短期間で七つの短編を作ることが、容易ではないことも思い知らされたものだ。


 かと言って、もう企画の変更などあり得なかった。先に上演会場を予約してしまっていたので、多少の見切り発車はやむを得なかったのだ。あきらめることより前に進むことを選んだのである。









 今でこそ、こういう余裕ある言葉を吐けるが、当時はまったくもって油断していた。夏の公演の疲れを癒すため、少しのんびりしてしまい、動きだすのが遅れてしまったのだ。


 カレンダーを見て、「あと、これだけしかない!」と、残り日数の少なさに驚いたものである。この辺を反省し、次の冬公演『舞台 七瀬恋』では、秋公演が終わってからすぐに動き出すことにした。もっともそれですら冬公演まで二カ月を切ってしまっている(もちろんその時点で脚本も出来ていないし、役者も決まっていないという白紙の状態!)という有り様だった。



 常にカウントダウンと闘うという苦しい状況ではあったが、奇跡を起こすしかない――秋公演のときもそうだったが、冬公演のときも、自分は同じ言葉を口にしていたように思う。情熱を高めるためには、あえて冒険心をくすぐる刺激的な言葉が必要なのだ。
 だが、それだけ切迫した状況でありながら、この秋公演「融合する瞳」の稽古現場の雰囲気はまるで違った。暗いムードなど微塵も感じさせないほど、明るく賑やかだったのだ。







 以前に、このホームページでも公開した稽古風景の写真を見ていただければわかるとおり、みんな楽しそうな表情をしている。間に合わなくてどうしようという悲観的なムードはどこにもない。開き直っているのか、それともピンチな状況を楽しんでいるのか。いや、おそらく何も考えていないだけなのだろう。こういうときは、あまり深く考え込まないほうが、却っていい結果につながるときもある。




   ■以前のホームページの一部(秋公演・稽古レポート)を見る








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