■企画の発端

 ボイスウィザード初の、メジャータイトルに挑戦するチャンスが訪れた。
 冒険心を忘れずに、常に新たな挑戦をし続けてきたボイスウィザードは、ついに2005年の総決算として、息の長い人気を誇るPCゲーム「夜勤病棟」シリーズ《七瀬恋》の舞台化に着手できたのである。
 しかも18禁ゲームである。内容も過激でハードなのだ。それを一般作として公演するという、大胆不敵な計画は関係者の特別な計らいにより実現することができた。まさに、ちょっと早いクリスマスプレゼントをいただいたような気分である。





 これは腰を据えて取り掛からなければならない――。
 そう考えて、今までのどの公演よりもハイレベルなものをめざそうと決心した。そのためには、あまり力を分散させないほうがいい。とくに主宰は担当分野をいくつも兼ねるより、できるだけひとつの役割に絞って、その作業に集中したほうがいい。
 自分はこう考えた末に、まず脚本の執筆に徹することに決めた。





 演出は、かねてから仕事でのお付き合いがあった勇者シリーズなどで知られる大御所のアニメーション監督、谷田部勝義さんに無理を言ってお願いすることにした。
 今から思えば、これは劇団にとってのターニングポイントともなる大英断であった。何しろプロの演出家が入ることによって、今までやってきた演出のスタイルとはガラリと変わるわけである。
 ともすれば、今までの劇団が積み上げてきたスタイルをリセットすることにもなりかねない。劇団としての特色(個性や方向性)までも見失ってしまうかもしれない。そんなリスクを抱えながらも、今回はこの作品の完成度だけにこだわろうと考えた。

 せっかく人気原作を舞台化させてもらえるのだ。夜勤病棟ファンに認められて、伝説となるようなステージにしたかった。それだけ、原作のネームバリューには重みというものがあったのだ。






          







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